徒歩で越える足柄峠

 峠を歩いて越えるのは楽しいものである。麓の街から離れるほどに人の気配がなくなっていく心細さ。山間の茶屋で一休みしながら食べる料理の美味さ。峠から出発点の街をはるか眼下に見下ろすときの達成感。反対側の街にたどり着いた時の安心感。峠越えには旅行のエッセンスが詰まっていると思う。そんな訳で、手頃な距離の峠である足柄峠を歩きに行ってきた。

 足柄峠は神奈川県と静岡県の境に位置し、古くから東西交通の要所として機能していた峠だ。

今回のルート

 今回は神奈川県側の大雄山駅から静岡県側の足柄駅までを歩くことにする。距離は約18Km、峠の標高は759mだ。途中、金太郎の里で昼食をとり、夕日の滝へ寄り道する。

大雄山駅から南足柄の農村を歩く

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伊豆箱根鉄道大雄山駅からスタートだ。

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駅前は意外と栄えていた。

駅を出たら右手に進む。程なくして竜福寺交差点にぶつかるので、そこを左折する。

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今日はこの県道78号に最後まで世話になる。

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栄えているのは駅前だけで、ちょっと歩くと田園地帯が広がっている。

農作業をしていたおばあさんにどこまで行くのか尋ねられた。足柄までだと答えると「結構遠いですよ〜」とのこと。まぁ普通は歩く道じゃないよな。

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道中、常に矢倉岳に見守られながら歩くことになる。この山は特徴的な形をしているから、すぐにそれと分かる。

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大雄山駅から1時間ほど、農村すらなくなり、本格的な峠越えの始まりだ。

つづら折りの部分をショートカットできる歩道が用意されており、ありがたい。

それにしてもこんな山奥なのにジョギング?をしている人に頻繁に遭遇する。その手の人の間では足柄峠は有名なんだろうか?

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足柄古道の入り口を発見!せっかくなので古道を通ろうと思ったが、まともに手入れされておらず、歩きづらそうだったので止めた。ってかこのバス停の周辺、この古道しかないんだがバス停の利用者いるんだろうか…

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地蔵堂トンネル、道中唯一のトンネルだ。距離は短いし歩道も整備されているので、徒歩でも安心して通ることができる。

金太郎の里へ

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トンネルを抜けて少し歩くと左に別れる道が現れる。この道は金太郎の里へつながっている。ここを素通りしてしまうとゴールの足柄駅までまともな集落が1つも無いので、この集落で一休みすることにする。大雄山駅からここまで1時間半ほど。

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この集落は金太郎生誕の里として知られているらしい。そのため観光客もぼちぼちおり、食事をとれる場所や公衆トイレがあるのだ。上にも書いたが、この集落は後にも先にも足柄峠唯一の里なので、一息つきたい人はここを通り過ぎてはいけない。

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万葉うどんで、おでんとカレーうどんをいただく。カレーうどんに乗っているのはひき肉と玉ねぎの餡で、こいつを混ぜて食べる。辛味がしっかりと効いていて、なかなか美味しい。

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夕日の滝に寄り道。

さて、峠道に戻ろう。

峠へラストスパート

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県道78号へは万葉うどんの前の道から戻ることができる。しばらく県道と並行した細い道が続くが、最終的には県道に合流するので大丈夫だ。

金太郎の里から先は一段と上り坂が厳しくなる。地図で見ても分かるようにつづら折りの連続だ。しかも歩道が整備されていないので注意。歩道の代わりに足柄古道並行して通っているのだが、如何せんまともに整備されていなくて歩けない。歩こうと思ったが入って数歩の所で蜘蛛の巣にぶち当たった(=誰も歩いてない)ので諦めた。

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足柄平野がはるか眼下に見える。だいぶ登ってきたなぁ。

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まともそうな足柄古道があったので、最後はここを歩く。

足柄駅

足柄古道を抜けると県道に合流する。ここには公衆トイレと茶屋があるので、一息つける。そこから県道を少し登ったところが峠のてっぺんだ。

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ここから先は足柄駅までひたすら下り坂が続く。

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少し行くと左に折れる道がある。この道が足柄駅へ通じているので、左折する。

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ずんずん下って行くと、栗の木沢唯念名号碑なるものが見つかる。どうも、かつて上人がこのありがたい碑を掘ったことでこの地の飢饉が収まったのだとか。

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人里だ!金太郎の里を出てからまともな人家のない道をひたすら歩いてきたが、ようやく人が暮らす里に出てくることができた。このほっとする感じが徒歩で峠を越える醍醐味かもしれない。

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人の暮らす街だ!

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足柄駅に到着!

大雄山駅から約4時間半。途中、うどん食べたり滝に寄り道したりしていたことを考えると妥当な時間だろう。

距離こそ箱根などに比べれば大したことはないが、標高は750mあるため登りごたえは充分あるし、まともな集落が少ないため秘境感も程よく感じられた。

週末に運動がてら、峠越えはいかがですか?