現役最古の鉄道トンネル、清水谷戸トンネル
プロローグ
歴史を感じる、というと、つい有名な寺社仏閣などの観光地へ行きがちだ。
しかし、歴史の痕跡は生活環境のなかにひっそりと残っていることも多い。
現役最古の鉄道トンネル、清水谷戸トンネルを訪ねた。
清水谷戸トンネルとは
清水谷戸トンネルは保土ヶ谷区と戸塚区の境に存在する東海道本線の鉄道トンネルだ。
東京ー小田原間では東海道本線唯一のトンネルだから、東海道線を良く使う人であればトンネルの存在を認識している人は少なくないと思う。
そんな戸塚以南の東海道線ユーザーならば誰もが通るトンネルだが、その建設は明治20年(1887年)にまで遡る。
今年でちょうど130歳だ。
明治時代の人々が作り上げた設備が、現在でも東海道の大幹線を支え続けているのだ。
清水谷戸トンネルに行ってみた
清水谷戸トンネルに自宅から自転車で訪れた。
まずは東戸塚側からアプローチする。
線路沿いの小道がトンネルに最も近づけるポイントだ。
トンネルまで少し距離があるが、これ以上近づくことはできない。
袋小路の小道だが、簡単な案内板が立っている。
左のトンネルが明治20年の建設で、現在は上り線用として利用されている。
右のトンネルはその11年後に複線化のために建設されたもので、現在は下り線が利用する。
上下線でトンネルの形状が異なっているのが面白い。
上の写真は保土ヶ谷方を、トンネルの上を通る環状2号線から撮影したものだ。
トンネルだけでなく、切通しを設けて峠を越えていることが分かる。
今となっては何のことは無い切通しやトンネルだが、明治のころは重機も無く人力の工事だったことを思えば、建設の苦労は想像できない。
東海道線の建設に当たっては、この清水谷戸トンネルと経由する案と、大岡川沿いに大船方面へ抜ける案(現在の京急線に近い)の2案があったそうだ。
最終的に勾配等を勘案して前者の案が採用され、清水谷戸トンネルが作られた。
もし後者が選ばれていたら、今の戸塚の風景はかなり違ったものになっていただろう。